『キクヤ通信』19号 『シャイロックの子供たち』池井戸 潤
大阪の八尾でジュエリーリフォームといえばキクヤ!
こんにちは!
キクヤ通信、本のコーナーです。
毎月、気になる本の感想文を書いてます。
今回は半沢直樹が大ヒット中の
直木賞作家 池井戸潤の隠れナンバーワン
作品とも名高い『シャイロックの子供達』です。
通信にも書きましたがシャイロックは
『ベニスの商品』に登場したユダヤ人の
高利貸し。僕は彼がどうも嫌いになれません。
憎めないキャラなんですが…。
現代のシャイロック達はどんな生き方を
しているんでしょうか?
『キクヤ通信』19号 2013年8月発行
◆◇◆銀行の見方が変わる◇◆◇
『シャイロックの子供たち』池井戸 潤
銀行の中身を鋭く描いた問題作。銀行という
全国に広がる巨大組織。数字を元に『完全』
を求められるのにはあまりにも『不完全』な
人間。『完全』と『不完全』のひずみが登場
人物を翻弄していきます。次々と主人公が変
わっていき、短編集かと思っていたら中盤か
らつながりを持ち最後にはサスペンスまで転
換していく構成は見事としかいえません。元
銀行マンの作者が描く出世競争、汚職、人間
関係は妙にリアル。「おぉー」と関心してし
まうこと間違いなしです。ちなみにシャイロ
ックとはシェイクスピア『ベニスの証人』に
登場したユダヤ人金貸しのこと。契約に沿っ
て主人公達を苦しめる強欲金貸しとして登場
しますが、現在でいえば契約を正直に執行し
ようとしただけであり、都合よく踏み倒した
のは主人公たち。時代と共に金融の価値観が
変化していることも面白いですね…。